身近なとりNo.16~20

16.ヨシゴイ(サギ科) 2006.7.16掲載

ヨシゴイ

夏の早朝、手賀沼のほとりを歩いてみましょう。オオヨシキリのさえずりがやや静かになったヨシ原から、「オー  オー」と低くうなるような声が聞こえてくることがあります。

  声の主は、ヨシゴイという茶色い小型のサギの仲間です。長い足指で直立した茎をつかんで、茂ったヨシ原の中を歩き回り、なかなか姿を現しません。「沼の忍者」のイメージがピッタリです。

  夏鳥として5月下旬手賀沼に渡来したヨシゴイは、ヒメガマの葉を折り曲げてカゴ状に編み込んだ巣を、水面より数十センチ上に造ります。

  一巣の卵数は4から7個、卵は17日から20日で 孵化(ふか)します。親子ともども、危険がせまるとくちばしを天に向け首を伸ばすユーモラスな擬態のポーズをとります。ヒナが孵化すると、親鳥が餌(えさ)運びでヨシ原の上を頻繁に飛びまわるため、ようやく姿が見られるようになります。

(写真:鳥の博物館友の会会員 安野 昌彦さん)

17.カワセミ (カワセミ科 ) 2006.8.16掲載

カワセミ

手賀沼遊歩道など市内の水辺を歩くと微に「チー」とか「チッツー」と鳴きながら水面近くを一直線に飛び去る鳥を見た人は多いと思います。その鳥こそ、その美しい外見から「水辺の宝石」などと呼ばれるカワセミです。背は青、翼の上の面は緑、腹はオレンジ色、のどと腹のわきが白、特に両翼の間の背中の水色は鮮やかで、光の当たり方によっては緑色に見え多くの人を魅了します。

漢字で「翡翠」、カワセミやヒスイとどちらにも読める美しい名前。北海道から沖縄まで見る事の出来る鳥で、くちばしが長く、するどく、頭は大きく、尾が短い独特の体型です。川や湖、公園の池などの水辺を好み枝の上や水面上で空中静止(ホバリング)しながら小魚を見つけ、ダイビングしてとらえます。

巣は川の土手などの土に穴を掘ってつくり、その穴の中でヒナを育てます。

遊歩道を散歩するとき幼いカワセミが親から餌をもらっている姿が見られるのも夏の清々しいひと時です。

(写真:鳥の博物館友の会会員 中野 久夫さん)

18.タシギ(シギ科) 2006.9.16掲載

タシギ
タシギ

 夏の暑さがまだ残る9月の田んぼには、北の国から南へ渡る途中、数多くのシギやチドリの仲間が立ち寄ります。

 タシギは、ロシアで子育てを終えて日本で越冬するためにやって来ます。

 ムクドリ位の大きさのシギで、くちばしとあしが長く、体色は全体的に茶色で地味ですが、頭から腰にかけてクリーム色の線が3本あるのが特徴です。

 このクリーム色の線と茶色の体が、田んぼの中では保護色となり、静止しているタシギを見つけるのが難しくなります。

 田んぼにはタシギの餌となる小動物が多く、その中でも特にミミズが大好物です。 

注意深く双眼鏡などで観察すると、長いくちばしを使い土中にいるミミズを探して食べている姿を見ることができます。

 タシギという名前の由来は、田んぼにいるシギというところからきています。

 手賀沼親水広場の周りの田んぼやあぜ、水路でよく見られますがタシギがいることに気づかずに近づき、ジェッジェッと鳴きながら飛び立たれて驚くでしょう。

 (写真:鳥の博物館友の会会員 中森 純也さん)

19.エナガ(エナガ科) 2006.10.16掲載

エナガ
エナガ

 秋の林を歩いていると「ジュリリ、ジュリリ、チーチー」と細い声が木々の中から聞こえてきます。よく見るとスズメより小さく丸みがある体に、短い嘴と細長い尾羽が特徴の、かわいいエナガの姿がありました。

 エナガは、全国に1年を通して生息する鳥ですが、我孫子では秋から冬にかけて群れで行動する様子がよく観察されます。

 また混群といってシジュウカラやヤマガラなどの鳥と群れをつくることもあります。1本の樹木に様々な種類の鳥がたくさん集まっている姿は、ちょっと寂しい秋から冬の林をとても賑やかにしてくれます。

 コナラなどの落葉広葉樹を好み、すばやく動き回りながら短い嘴で小さな昆虫やその卵を食べる姿を身近な場所で見ることができます。

 エナガという名前は、その細長い尾と体がまるで、「ひしゃく」の柄のように見えることから、「柄が長い鳥」で「エナガ」と名付けられたと言われています。

   (写真:鳥の博物館友の会会員 中野 久夫さん)

20.バリケン(カモ科) 2006.11.16掲載

バリケン
バリケン

 近ごろ、鳥の博物館窓口での質問件数ナンバーワンは「カッパの噴水前の、赤い顔のシチメンチョウのような鳥は何?」です。それはバリケンという鳥で、アヒルやニワトリと同じ家禽(かきん)です。

誰が捨てたのか、手賀沼では数年前から10羽ほどがすみつき、今や「身近な鳥」として無視することができなくなりました。

 バリケンは、メキシコ、ペルー、ブラジルなど中南米に分布するノバリケンというカモの仲間をヨーロッパで食用に家禽化したもので、その名前はオランダ語の、ベルゲンテbergeend(山+アヒル)に由来します。日本にいつごろ輸入されたのか分かりませんが、江戸時代中期の図録にはすでに描かれています。

 ノバリケンは、森に近い湖にすみ、水上はもちろん樹上(じゅじょう)で休んだり、樹洞(じゅどう)に巣をつくったり、カモの仲間の割には器用に飛ぶことができます。

 雌雄(しゆう)同色、雄は一回り大きく、頸(くび)を前後させ尾羽(おばね)を左右に振り雌に向けて求愛ディスプレーをします。手賀沼のバリケンで同じような行動を見かけた方も多いことでしょう。

 最近では、フランスガモとして高級食材になっていますが、くれぐれも飼育しきれず

に野外に捨てることだけはおやめください。

 

(写真:鳥の博物館友の会会員 中野 久夫さん)