身近なとりNo.96~100

96.キビタキ(ヒタキ科) 2013.6.16掲載

キビタキ

 緑が美しい季節、手賀沼沿いの斜面林から「ピーピョロ ピッコロロピッコロロピッコロロ」とのびやかな声が聞こえてきたら、それはキビタキです。

 オスは、黄色い胸と腰と眉が目立ち、日本の鳥の中ではとりわけカラフルです。英語名は、ナルキサス・フライキャッチャーで、ナルキサスはナルシスト(うぬぼれ屋)と同じ語源、フライキャッチャーはハエ(フライ)などの飛翔性昆虫を捕らえる者という意味で、この鳥の姿や習性をよく表しています。

 東南アジアで越冬し、夏、日本全国の広葉樹林で子育てします。

 手賀沼周辺の樹林でも、少数繁殖しているようで、声や姿が一夏中確認されています。朝の散歩がてら、耳を澄まして手賀沼周辺を散策してみてはいかがでしょうか? 

(写真:鳥の博物館友の会会員 大久保陸夫さん)


97.ウズラ(キジ科) 2013.7.16掲載

ウズラ

 中華丼の卵でおなじみのウズラですが、実際の鳥の姿を想像できますか? ウズラは全長20cmほどの茶色の鳥で、クリーム色のしまもようがあります。草原や農耕地に生息し、ずんぐりむっくりした容姿に似合わず、長い距離の渡りをすることが知られています。

 近年、日本ではウズラの数が激減していて、2007年からは禁猟となっています。すみかとなる草原が急激に減ってしまったのが、主な原因と考えられています。利根川下流域では現在でも少数が生息しています。ウズラの住める環境をいつまでも残していきたいものですね。 


(写真:鳥の博物館学芸員 小田谷嘉弥)

98.クロハラアジサシ(カモメ科) 2013.8.16掲載

クロハラアジザシ

 アジサシの仲間は、魚のアジを尖ったくちばしで刺して捕まえることが名前の由来といわれるほど、古くから水辺の鳥として知られています。長距離の渡りをするものが多く、水上を高速で飛ぶのに適した細長く尖った形の翼をしています。

手賀沼では夏に飛来するコアジサシが主に見られますが、近年、観察例が少ないクロハラアジサシの姿も見られています。春から秋にかけて日本に飛来しますが、中には冬になっても留まるものもいます。博物館の毎月の水鳥調査では昨年の12月に観察されており、今後の動向が気になる鳥のひとつです。水面すれすれで魚を捕まえたり、杭の上で休む姿を、ぜひ手賀沼で探してみてください。 


(写真:鳥の博物館友の会会員 浅野利幸さん)

99.ドバト(ハト科) 2013.9.16掲載

ドバト

 ドバトの原種は、ユーラシア大陸に生息しているカワラバトです。伝書鳩、食用鳩、鑑賞鳩などさまざまな目的にあわせ、カワラバトの品種改良をおこない、世界中でたくさんのカワラバトの品種が知られています。これらの品種のハトが野生化したものをドバトと呼んでいます。ドバトは、日本にいる野鳥のキジバトより、体が大きく、個体によってさまざまな羽の色、模様を持っています。

ドバトは公園などでの餌付けが原因で増え過ぎたと言われています。最近では、ハトへの餌付けは禁止しているところが多くなってきています。また、都会におけるドバトの増加で、オオタカが見られるようになったとも言われています。

(写真:鳥の博物館学芸員 塩田いづみ)

100.コウノトリ(コウノトリ科) 2013.10.16掲載

コウノトリ

 あびこ身近な鳥100種目を記念し、おめでたい鳥をご紹介しましょう。

 コウノトリは、かつて日本全国の人里にすむ身近な鳥でしたが、戦後個体数が減少し、1986年(昭和61年)、日本産コウノトリは絶滅しました。

 この鳥が、2004年12月25日、我孫子市の利根川沿いの北新田に飛来し3ヶ月滞在し、話題になったことを思い出される方も多いはず。また、兵庫県豊岡市や千葉県野田市のコウノトリ野生復帰に向けた取り組みを思い浮かべる方もいらっしゃることでしょう。

 コウノトリの野生復帰の各地の取り組みは、私たち人間にとって安全で安心なくらしを手に入れる活動と結びついています。「子どもを運んでくる鳥」という逸話以上に、幸せを運ぶおめでたい鳥です。近い将来、我孫子の身近な鳥になるといいですね。

(写真:鳥の博物館友の会会員 中野久夫さん)