身近なとりNo.1~5

1. オオバン(クイナ科) 2005.4.16掲載

オオバン

「オオバン」という鳥の名前が、スズメやカラスと同じくらい身近なのは全国でも我孫子市くらいでしょう。

 1988年12月、「市の鳥」に指定されました。

 「オオバン」は、黒い体に白い嘴くちばしと額、足指一本一本の木の葉のような水かきが特徴の水鳥で、手賀沼では一年中その姿を見ることができます。

 繁殖期になると、つがいごとにヨシ原の水ぎわをなわばりにして、枯れ草を積み重ねた「浮き巣」をつくり、卵を産みます。

 「浮き巣」は、水位の変化に対応できるすぐれた巣ですが、春先の強風で水面が激しく波立つと壊れてしまいます。広いヨシ原が波の力を和らげ巣を守っているのです。しかしヨシ原が狭いと、波の力を直接受けて巣は壊れ、繁殖は失敗します。

 オオバンは、ヨシ原に守られてくらす水鳥で、ヨシ原の豊かさを示す指標です。

(写真:鳥の博物館友の会会員 岡本 信夫さん)

 2. オオヨシキリ(ウグイス科) 2005.5.16掲載

オオヨシキリ

 オオヨシキリは、昔から「よしきり」と呼ばれ身近な鳥の一つです。

 九州以北に夏鳥として渡来し、ヨシ原で繁殖します。雄の早いものは、4月未に飛来し、なわばり宣言、5月の心地よい風が肌に感じるとき、手賀沼や利根川のヨシ原から盛んに聞こえてくる鳥の鳴き声、「ケケシ・ケケシ・ギョウギョウシ」は、この鳥の声。ヨシ原の茎に枯れ草などをからめて、外径10cmぐらいのお椀型の巣を作り、406個の卵を産みます。質の良いなわばりを確保した雄には、数羽の雌が番う一夫多妻型。ヨシにつく昆虫類やクモ等を餌とします。子育ても一段落すると手賀沼の湖畔にも静けさがやって来ます。9月の未には南へ旅立ちヨシ原から姿を消します。

(写真:鳥の博物館友の会会員 西巻 実さん)

 3. カッコウ(カモメ科) 2005.6.16掲載

カッコウ

 その名のとおり「カッコウ・カッコウ」と特徴のある声で鳴く鳥です。

 日本には夏鳥として渡来し、我孫子では利根川沿いのヨシ原近くでみられます。姿は見つけられなくても声ですぐにカッコウとわかります。主に昆虫を食べ、他の鳥が見向きもしない毛虫も好んで食べます。カッコウには托卵(たくらん)という習性があります。托卵は自分では巣を作らず他の種類の鳥の巣に卵を産み、卵やヒナの世話をその巣の親にそのいっさいをまかせてしまう習性です。カッコウの托卵相手としてはオオヨシキリのほか、モズ、オナガなども知られています。カッコウのヒナは他の卵より早く孵化(ふか)し、他の卵やヒナを背中に乗せて外に出してしまいます。

 (写真:鳥の博物館友の会会員 諏訪 哲夫さん)

 4. コアジサシ(カモメ科) 2005.7.16掲載

コアジサシ

 田植えの始まるころ、オーストラリアや赤道付近の南の国から夏鳥として渡来し、広い河川や湖沼、海岸、砂州などで繁殖します。

 このような環境は、埋め立て地や造成地として開発されやすく、繁殖地を追われたコアジサシの生息数は激減しています。そのため絶滅が心配されています。

 手賀沼には毎年飛来し、水上をゆっくりと飛び、水面の小魚をダイビングして捕まえる様子や杭の上で羽を休める姿が観察されます。

 手賀沼遊歩道を散策するときに、水上を舞うコアジサシの姿を見かけたら、いよいよ夏の到来です。

(写真:鳥の博物館友の会会員 安野 昌彦さん)

 5. カルガモ(カモ科) 2005.8.16掲載

カルガモ

 カルガモはニホンのどこでも見られるカモの仲間です。本州より南では、1年を通して観察できます。

 雑食性ですが、主に穀類を好んで食べます。繁殖期は4月から7月までで、水辺近くの草むらの中の地上に巣を作り、淡いベージュ色の卵を10個から12個産みます。雌親のみがヒナの世話をします。手賀沼周辺で見かける、親鳥の後に一生懸命ついていくヒナの姿は本当にかわいらしいものです。

 カモの仲間の多くは、オスが美しい羽で着飾ることで、雌が他の種のオスと見間違えないようにし、誤った交雑を避けていると考えられます。しかし、カルガモは雌雄同色で、オスも地味な羽装です。渡りをしないカルガモは、他のカモが北に帰った後に、繁殖期を迎えるので、雌は同種の雄を間違えることはないためと考えられています。

(写真:鳥の博物館友の会会員 川上 貢さん)