身近なとりNo.11~15

11.オオジュリン(ホオジロ科 ) 2006.2.16掲載

 オオヨシキリがにぎやかにさえずっていた夏に比べると、静かな冬枯れのヨシ原は寂しい風景です。でも、ヨシ原を注意深く観察しながら歩くと、きっと活発に動く小鳥の群れに出会えるはずです。「チュイーン」というやわらかな声と「パチ パチ」と枯草がはじける音が聞こえたならば、それはオオジュリンです。「パチ パチ」という音は、中に潜むカイガラムシの仲間を食べるため、オオジュリンが枯れたヨシの葉鞘(ようしょう)をむしりとる音です。垂直の茎にとまり上手に食べます。

 手賀沼では10月下旬から翌年4月下旬までみられますが、越冬期のオオジュリンは、うす茶色の地味な色合いです。 

ヨシ原で冬を過ごしたオオジュリンは、夏、東北北部や北海道、カムチャツカ半島、樺太などの草地に渡り繁殖しますが、雄は、頭部の羽毛の先端部分が擦り切れ、基部の黒い羽毛が現れるため、黒い頬被り(ほおかぶり)をかぶったようになります。別名「なべかぶり」とも呼ばれるゆえんです。

(写真:鳥の博物館友の会会員 中野 久夫さん・川上貢さん(円内)さん)

12.ウグイス (ウグイス科 ) 2006.3.16掲載

 ウグイスは、スズメと同じくらいの大きさの小鳥で、日本とその周辺地域にすんでいます。一羽の雄が二羽以上の雌とつがいになる一夫多妻の鳥です。

体色は、俗にウグイス色といいますが、実は茶色っぽい色をしています。高原の鳥のイメージがありますが、最近では我孫子周辺でも夏に鳴き声を聞く機会が多くなりました。冬に雪が降るような場所にすむウグイスは、冬の間は南の方や低地の暖かい場所に移動し、主に人里近くの薮の中で生活します。そして、春になり日が長くなると、人家の庭先や公園でホーホケキョとさえずることから「春告げ鳥」と呼ばれ親しまれています。また、「ホーホケキョ」は雄のさえずりの声ですが、声には高い声と低い声があり、特に低い鳴き声は他のウグイスの雄に対して威嚇の意味があることが知られています。身近で聞いた「ホーホケキョ」の鳴き声は高い音それとも低い音でしょうか?そんな予備知識でウグイスの鳴き声を聞くのも楽しみ方の一つです。

(写真:鳥の博物館友の会会員 鳥越 治さん)

13.スズメ(スズメ科 ) 2006.4.16掲載

 私たちに最も身近な鳥といえばスズメです。スズメは人家とその周辺の樹林、農耕地、草地、河原に生息しています。スズメは人家密度に比例して生息していることが知られており、人が住んでいない廃村にはいません。繁殖期には、枯れ草を用いて建物の隙間に営巣します。エサは、主にイネ科、タデ科、キク科などの草の種子です。 スズメは、人類が発達させた農耕文化や住居などの構造物とともに広がった鳥と言っていいでしょう。今の季節、サクラの花が花ごと根元で切れて落ちているのを見かけませんか?メジロやヒヨドリは花の蜜をうまく吸いますが、スズメは花を元からちぎってクチュクチュとくちばしで挟んで蜜や子房を食べるので、花が落ちてしまうのです。サクラの花にとっては災難です。

 (写真:鳥の博物館友の会会員 中西 榮子さん)

14.キジ(キジ科) 2006.5.16掲載

 日本の国鳥「キジ」はとても身近な鳥です。春を迎えた4月頃になると田んぼや畑の少し高くなった場所で、雄のキジがケーン、ケーンという二声の後に、ドドドッと翼を体に打ちつけて大きな音を立てる「ほろ打ち」をする姿をよく見かけるようになります。

 「ほろ打ち」は、なわばり宣言や雌を呼び寄せる役割があります。

 雄は単独のなわばりをつくり、雌のグループがいくつかの雄のなわばりを見て回り、雄はやって来た雌に赤い顔を膨らませ、頭を下げ、翼や尾羽を半開きにし、綺麗な羽の模様を見せて自分のかっこよさをアピールするかのようにプロポーズをします。雌は見て回った中で一番気に入った雄と結婚します。

 今の季節、手賀沼周辺でも田んぼや畑に目をやると、あちこちでオスのキジがプロポーズをしている姿が見られるでしょう。

(写真:鳥の博物館友の会会員 岡本 信夫さん)

15.ハクセキレイ(セキレイ科) 2006.6.16掲載

  1. ハクセキレイは、公園の池や水たまりの周りでよく見られる身近な鳥です。尾羽を上下に振りながら歩き、チュチン、チュチンと鳴きながら大きな波形を描くように飛ぶのが特徴です。

 主なエサは昆虫で、水辺を歩きながら、あるいは空中に飛び上がって捕らえます。

 本来、低地の海岸や湖沼、河川の周辺で生活する水辺の鳥でしたが、最近では内陸部や市街地に生息域を広げ、都市鳥として定着しました。

 冬の間は駅前の街路樹や建物に、数百から数千羽の群れがねぐらをとる姿が見られます。春から夏にかけては、繁殖のため番で行動します。巣はくぼ地や岩のすき間などに枯れ草を椀状にからめて作りますが、市街地では建物のすき間や排気孔を利用します。

 ハクセキレイの羽色は単調な白と黒ですが、雌雄や年齢によって少しずつ模様や濃淡が異なるので、注意深く観察してみるとおもしろいでしょう。

(写真:鳥の博物館友の会会員 大久保 陸夫さん)