身近なとりNo.36~40

36.ムクドリ(ムクドリ科) 2008.3.16掲載

ムクドリ

 ムクドリは、人家の戸袋を利用して子育てしたり、駅前の街路樹に集団でねぐらをとったりする都市鳥で、我孫子市内でも一年中よく見かける、とても身近な野鳥です。

 スズメのように両脚でピョンピョンはねるホッピングスタイルではなく、脚を交互に踏み出すウオーキングスタイルで歩き、草の中にくちばしを差し入れてカッと開き、草や土をこじ開け餌えさを探すしぐさは、地上で餌を採ることの多いムクドリが、地中に潜む獲物を見つけだすのに最適な方法です。くちばしを大きく開くことで、前方の視界が開け、獲物をより見つけやすくなるといわれています。

 立春を過ぎるあたりから、体色の濃いオスとやや薄い色のメスが、つかず離れず連れ立って歩く姿が目につくようになります。この頃ころから子育てする場所に目星を付け、4月に入ると産卵が始まります。一腹の産卵数は5~7個で、卵はトルコ石のようなコバルトブルーです。

(写真:鳥の博物館友の会会員 小池 勉さん)


37.ハシブトガラス(カラス科) 2008.4.16掲載

 ハシブトガラスは、アフガニスタンから東アジアにかけての広い地域にすみ、日本では留鳥として全国各地の高い山から都会までさまざまな場所にすんでいます。ゴミ箱の残飯から鳥の雛や卵、死んだ動物や魚など雑食性でとにかくなんでも食べるので、いろいろな場所で生活できます。我孫子で出会うカラスには、もともと山地などに多く生息し、今は都会派になったハシブトガラスと、農耕地などの田園に生活しているハシボソガラスの2種類がいます。都市化された中にもまだまだ自然が残されている我孫子では、この2種類のカラスが半々ずつ見られます。ハシブトガラスは澄んだカーカー、ハシボソガラスはいがらっぽい声のガーガーで、姿を見なくても簡単に識別できます。これからの時期、ハシブトガラスは子育てに入ります。巣を見るために立ち止まると親鳥は雛が誘拐されるのではないかと攻撃をしてきますので注意しましょう。

(写真:鳥の博物館友の会会員 鳥越 治さん)

38.キジバト(ハト科) 2008.5.16掲載

キジバト

 キジバトは、人里近くの畑地や市街地の公園などで普通にみられる、身近なハトの仲間です。「デデッポッポッポー」と鳴く声は、市街地でもよく聞かれます。全長は約33㎝、だれもが知っているこの鳥は、バードウォッチングする際に、鳥の大きさを知る目安になります。

キジバトは、他の鳥より繁殖期が長く、3月から11月の間に4回から8回もヒナを育てます。キジバトの雄の求愛行動は、頭を上下に動かしながら雌を熱心に追いかけ回します。一回ごとにペアを替えて繁殖するので大忙しです。キジバトは、お皿状の雑な巣を作ります。卵は2個しか産みません。産まれたヒナはピジョンミルク(親鳥が食道で分泌したミルクのようなもの)で育ち、約2週間で巣立ちます。

キジバトは、平安時代から「やまばと」の名で知られ、江戸時代になるとキジの斑に羽色が似ていると言うことで、「きじばと」と呼ばれるようになりました。


 (写真:鳥の博物館友の会会員 野口 隆也さん)

39.コゲラ(キツツキ科) 2008.6.16掲載

コゲラ

 コゲラは日本で一番小さなキツツキの仲間です。我孫子では1年を通して見ることができます。スズメと同じくらいの大きさで、背中と翼は黒く、のどから胸は淡い褐色です。オスは、目の脇の後頭部に近いところに赤い斑があり、メスと識別できますが、野外で確認するのは難しいです。

 ギー、ギーという声で鳴き、キツツキ特有のドラミングという、木を嘴でつく音を出します。コゲラを見かけたら、その止まり方にも注目してみましょう。キツツキの仲間は幹の樹皮の裏に隠れている昆虫などを食べるために、鋭い爪でしっかりと幹や枝につかまり、尾羽で体を支えながら、垂直に止まることができます。

 キツツキというと山野の鳥という印象が強いですが、最近は街中の公園でも見られます。おそらく、公園や街路に植えられた樹木が大きくなり、コゲラが繁殖することのできる太い幹が増えたからだと考えられます。

 

(写真:鳥の博物館友の会会員 中根 忠さん)

40.コチドリ(チドリ科) 2008.7.16掲載

コチドリ

 田植えの頃、田んぼや造成地の近くを歩いていると、突然「ピョー、ピョー、ピピピピピ」とよく通る澄んだ声が響き渡ることがあります。声の主は、コチドリです。ムクドリ大で、細長い翼、長い脚、大きな目、目の周りの黄色い縁取り、胸の黒い帯が特徴です。

コチドリは、春になると手賀沼周辺に渡来し、沼や田んぼのまわりの裸地で子育てする夏鳥です。巣は、地面に浅いくぼみを掘り、小石や貝殻片を運び込むだけの簡単なもので、この中に、うす茶色の卵をふつう4個産みます。天敵に対してまるで無防備な巣のようですが、地面の色にとけ込む見事なカムフラージュは、天敵を欺くには充分です。

いよいよ天敵が巣に近づくと、親鳥は、翼を不自然にばたつかせ、傷ついているように振る舞い、敵を巣から遠ざけようとします。ヒナは抱卵22~25日で孵化ふかし、すぐに歩き出し、巣を離れます。その後親鳥とともに25~27日間過ごし、独立します。自立前のヒナは、危険が迫ると、親鳥の腹の下に頭を突っ込み、じっと立ったまま動きません。この時の姿は、まるで6本脚や8本脚のコチドリのように見えます。コチドリは必死でしょうが、観察者にとってはユーモラスなシーンです。 

(写真:鳥の博物館友の会会員 熊倉 国勝さん)