身近なとりNo.41~45

41.サンコウチョウ(カササギヒタキ科) 2008.8.16掲載

サンコウチョウ

 サンコウチョウは、東南アジアから4月下旬から5月上旬にかけて日本にやって来る夏鳥です。目の周りのブルーが目立ち、頭は黒く、胴体は赤褐色、腹は白く全体的には黒っぽい可愛い小鳥です。雄は体の3分の2程の長さの長い尾羽が特徴です。鳴き声が独特で「ツキ(月)、ヒ一(日)、ホシ(星)、ホイ・ホイ・ホイ」と聞こえ、遠くからでも良く分かる鳴き声です。この鳴き声から

三光鳥の名が付けられました。俗に「馬追い鳥」という別名もあります。これは鳴き声の「ホイ、ホイ、ホイ」という軽やかさから名付けられたようです。

 昨年、手賀沼湖畔の林で久しぶりに繁殖をしました。3羽の若鳥が8月中旬に巣立ちました。我孫子では春の渡りの時期に鳴き声が聞かれることもありますが、私たちの街に今よりももっと自然が戻ってくると、遊歩道を散歩するつど、耳にやさしくどこからともなくツキ・ヒー・ホシ・ホイ・ホイ・ホイと鳴き声が聞かれるようになります。そんな街にしたいですね。

 

(写真:鳥の博物館友の会会員 時田 賢一さん)

42.オオジシギ (シギ科) 2008.9.16掲載

オオジシギ

オオジシギは、越冬地のオーストラリア南東部から、繁殖のため日本に飛来する渡り鳥です。子育ては、おもに本州中部の高原、東北や北海道の平地の草地で行います。我孫子周辺では春と秋、渡りの途中、田んぼに立ち寄り餌えさを採る姿が見られます。大きさはハトぐらい、くちばしとあしが長く、全体的に茶色で、背景に見事にとけ込む羽色です。

餌は、泥の中の昆虫の幼虫やミミズなどで、長いくちばしを使って上手に食べます。くちばしの先だけ開閉するしくみが、泥の中から上手に餌を引き出すことができる秘密です。

 オオジシギは、ガガガガガと大きな羽音をたてながら急降下するフライトディスプレイを行います。その様子から「雷シギ」とも呼ばれています。また、シギの語源は「騒ぎ(さやぎ)」や「はねかき(夜に羽音をたてて飛ぶこと)」と言われています。

地上性なので、我孫子で姿を観察するのは一苦労ですが、繁殖地では、雷のような羽音をたてて急降下する姿がよく目立ちます。

 

(写真:鳥の博物館友の会会員 諏訪 哲夫さん)

43.カワラヒワ(アトリ科) 2008.10.16掲載

カワラヒワ

 カワラヒワはスズメくらいの大きさの鳥で、我孫子では1年を通して、公園や水田、ヨシ原などで見られます。頭の上から後頭部は灰色で、背や腹はオリーブ色がかった褐色をしています。飛ぶと翼の黄色の羽が帯状にとてもよく目立ちます。止まっている時はたたんだ尾羽に三角の切れ目が入ります。カナリアと同じ仲間のカワラヒワは「キリリ、コロロ」ときれいな声で鳴きます。植物の種を食べ、堅い種でも割れるように、大きくて丈夫な嘴を持っています。子育ての時期には、親鳥はその大きな嘴で小さな種も器用に皮を剥き、そのうと呼ばれる器官に貯めた後、ヒナに与えます。

 繁殖期が終わり、秋になると群れで行動します。稲刈りが終わった後の水田に降りて、集団で落ち穂などを探している姿を目にします。また葉が落ちた街路樹に、カワラヒワのカップ状の巣を見つけることがあります。みなさんもぜひ観察してみてください。

 

 (写真:鳥の博物館友の会会員 吉田 隆行さん)

44.セイタカシギ(セイタカシギ科) 2008.11.16掲載

セイタカシギ

 2008年の9月3日、鳥の博物館友の会の方が「市民農園前の手賀沼にセイタカシギがいるよ!」と教えてくれました。10羽のセイタカシギが、手賀沼の植生浄化用の人造島に降りていました。全長(*1)約40㎝の胴体に、30㎝程のすらりとのびたピンク色の脚あし。貴婦人のような姿です。細長い嘴くちばしで水辺の小動物を捕らえて食べます。

日本の留鳥として定着したのは、1975年に愛知県で初めて繁殖が確認されて以来のことです。その後各地で観察される機会が増えましたが、決して数多い鳥ではありません。手賀沼周辺では1977年から観察記録があります(*2)。

セイタカシギは、世界中の低・中緯度地域の水辺に分布しています。日本にこれまで生息していなかったのが不思議なくらいです。この鳥が安心して定着できるような水辺環境はどこにあるのか? 今後の動向が気になる「身近になった」鳥の一つです。

*1 全長=鳥を仰向けに寝かせた時の、嘴の先から尾羽の先までの長さ

*2 我孫子野鳥を守る会による記録

 

(写真:鳥の博物館友の会会員 尾崎 光代さん)

45.ハシボソガラス(カラス科) 2009.1.16掲載

ハシボソガラス

 我孫子で出会うカラスにハシブトガラスとハシボソカラスの二つのカラスが見られます(広報あびこ平成20年4月16日号参照)。ハシブトガラスは山地派、今は都会派、今回のハシボソガラスは田園派。都市化された中にも自然が残っている我孫子では、この2種頬のカラスがちょうど半々ずつ見られます。ハシボソガラスは、世界で6亜種が知られ、ヨーロッパ(白黒のツートンカラーもいる)から北アフリカの一部、アジアまで広く生活しています。日本では南西諸島を除く全国に留鳥として生活しています。簡単な見分け方は、鳴き声です。

ハシブトガラスは澄んだカーカーに対してハシボソガラスはいがらっぽい声のガーガーと姿を見なくても簡単に識別できます。また、嘴が細い、おでこが出ない(ハシブトガラスはおでこが出っ張るゴリラ)、お辞儀をするように鳴く姿や仕草でも簡単に識別できます。夕焼けの中、ねぐらに帰るカラスにちょっと立ち止まって、識別したらいかがでしょう。

(円内はハシブトガラス)

(写真:鳥の博物館友の会会員 岩田 光二さん)